購入して一年間サーフフィッシング、ヒラスズキゲーム、ショアジギングで使いましたが、度重なるライントラブルにより全く出番がなくなってしまった22ステラ。

世界最高峰のリール、絶対王者、唯一無二のステラ様に対し、疑念を持つユーザーが続々と輩出される中、その意に反して産み出される23ヴァンキッシュ、24ツインパワー、25ツインパワーXDといった新密巻き機たち。
使い方が悪い、扱えないやつは初心者、嫌なら使うな等々、賛成派と反対派がSNSを通じて真っ向から対立し、二十数年ぶりに密巻き大論争が勃発。
当の製作サイドはそんなアメリカ対中国のような構図を他人事のようにだんまりと静観する始末。
少しずつ事態は収束し、状況によってはトラブル起きるよね、俺ヘタクソだからサミングできるように頑張るね、と両者が歩み寄り始めたそんな折、密巻きトラブルユーザーに対してシマノがこれを使えと言わんばかりに出したのが何を隠そうハードブルです。

前置きが長くなってしまいましたが、密巻き論争が繰り広げられているタイミングで出してきたのは、公式には認められないけど使うラインは厳選して欲しいというシマノからのメッセージであると、ワタクシ、そう受け取りました。
ということでまずはハードブルとはなんぞや?という方向けに軽く解説。
密巻きに使え!ハードブル

ハードブルとは…
公には言えないけどシマノが密巻き機に使ってねという意図のもと出した糸。(PEライン)
ラインアップは以下の通り。
太さ | 0.6~6号 |
長さ | 100m,150m,200m |
カラー | グレー、グリーン |
0.6~6号まで揃えているのは素直に有り難いです。長さが200mまでしかないのは、それ以上巻くなというシマノからの隠れたメッセージ。
300mも巻いたらバックラッシュ起こしてまた文句言うんだろ!短く巻けばなんとか使えるんだから!
そーいうコトです。
ハードブルがなぜトラブルレスなのか?
一言で説明してしまえば、ハリ・コシのある硬めのラインのほうがふにゃふにゃとたるまないぶん絡んだり糸ふけが発生しにくくなるからです。
より詳しく知りたければシマノホームページをご覧下さい。
シマノの飼い犬たち…いやピットブルたちがわざとらしく密巻き機にはいっさい触れずインプレしておられます。
ベイトベイトうるせー!今までだって他メーカーからこういうライン出てたんだ、珍しくもなんともない。何を今さら。
論点はそこじゃないだろ??
公式ホームページを見てそう思ったのはワタシだけではないはず。
ライントラブルがヤバい22ステラにハードブル巻いて実釣インプレ!

ということでPE1.5号を200m巻いてみました。緩く巻くと第一投目から悲惨なことになるので、いつもよりテンションを掛けてややキツめに巻いております。
この日はベタ凪無風、足場の良い堤防からの釣り。とりあえずDJを投げてみる。

本当は空気抵抗の小さいメタルジグを初めに投げるのが吉ですが、コンディション的にそこまで神経質にならなくても良さそうなので、ちから八分くらいでキャスト。

なるほどね。
確かにハードです。まだ巻いたばかりなので糸クセが少ないのは当然ですが、それにしてもしっかりハリのあるラインということがよくわかります。このあと100%のちからで投げてみましたが特に問題なし。
続いてはメタルジグ。

こちらもあちこち投げ散らかしてシャクったりしましたが、意識したのはサミングくらいで、多少テンションが緩いスラックができた状態で巻き取ってもトラブルが起こるようなことはありませんでした。
その他、ワーミングで10gのフリリグを投げたりしましたが問題なし。
個人的にはバックラッシュ起こして「やっぱりダメです」という流れに持って行きたかったのであれこれ試してみましたが、ベタ凪無風という条件下では普通に使用することができてしまいました…
トラブったほうがネタ的に美味しいのに。
ちなみに以前、別のPEラインで使用していたときは、ベタ凪無風でもジグを遠投してシャクっていれば、その際のわずかなテンションの弛みが原因でスラックができ、そのまま巻き取ってトラブルに繋がることがあったので、少なくともこのハードブル、ハリがあることでライントラブルが減少していることは間違いなさそうです。

別の日。
写真では伝わりにくいけどこの日は向かい風6m、波高1.5mとなかなかのタフコンディション。
どうしてもラインがぐちゃぐちゃっと絡まっている画像を残したく、サラシ打ちのヒラスズキゲームを想定してあえてこのような日を選びました。

最初から飛ばしていく!
暴風+ミノー=ライントラブルというのは物理学で言うE=mc2くらい有名な方程式。
こんな6mも吹き荒れる中でミノー投げるなんてーのはその日の釣行を一発で終わらせるような自殺行為というものよ。
わたしにヘブンを見せてくれ。行って来いSASUKE!

問題なし。
何投しても問題なし。
以前のサラシ打ちでは10投に3投くらいはトラブルを起こしていましたが、期待に反して綺麗に巻かれていくライン、そして素晴らしいキャストフィーリング。
そんなにもハードブルって優秀なのか?
何投もして考察すると、ロッドワークで作ったスラックもリールに巻き取る際はラインのハリの影響でスラックが緩和されてしまい、そのおかげで従来のような糸フケが出来たままリールにラインを巻き取ってしまう、ということがなくなっている模様。

上の画像、竿先はスラックが出来ていますが最後のガイド~リール間はスラックがありません。
ハリのない柔らかなラインを使う場合は、この間にスラックができるのでライントラブルが起こりやすくなります。
とは言っても、このようなタフコンディションでミノーを撃ち続ければいつしかライントラブルに見舞われることでしょう。
しかし、確実に、そして大幅に、ハードブルに替えてからはライントラブルが減少する、ということが実感できました。

半年間使い続けた結果、経年劣化でただのブルに
ワタシよりも永くハードブルを密巻きに使用している先人曰く、色落ちが他所様のメーカーより激しいということだったので、色落ちやコーティングの剥がれ具合を気にしながら半年間使用してみました。


右が新品未使用時、左が半年後。
光の加減により半年後のほうが色濃く見えますが、実際はやや薄白く変色しています。ただ、ご覧の通り思ったほど色落ちは激しくありません。
しかし、見た目からはあまり解りませんが、使用感は明らかに変化しています。
以前に比べハリがなくなり、ラインが柔らかくなってきていることを実感し始めたある日、ついに恐れていたことが起こってしまいました。

この日は向かい風4m/s、白波が立っておりうねりもあるタフコンディション。そんな中、160㎜の大型ミノーをフルキャストしていた際、ルアーが頂点に到達する手前でバラバラバラッという嫌な音を立ててラインが放出されていきました。
幸いにも大したライントラブルではなかったため、ほぐして引っ張ったら解消されましたが、この日をさかいに同じような状況(強風+空気抵抗の大きいルアー使用時)でライントラブルが度々起こるようになってしまいました。
頻度的には、上記のようなタフコンディション時、1釣行1度といった具合。
もちろん爆風や高波といった悪条件下で使えばトラブるリスクが高いということで、無風時に空気抵抗の大きいプラグをキャストしても、現状は特に問題なく使用できています。また、毎投、ラインスラックだったり、ワタシの場合はロッドを振り抜く際の無駄な力みを抑えれば上記のようなタフコンディションでも基本的にはトラブることはありません。気を抜いた数投分の1の確率でラインが絡まって放出されていく、といった感じです。
経年劣化はどんな物でも起こることなので致し方なさはありますが、
色落ちする=コーティングが剥がれる=柔らかくなる
ということらしく、ワタシよりも永く密巻きを使用している先人も、ハードブルが今ではハードさが欠けたただのブルであるという迷言を残してくれました。
PEラインの交換頻度は個人差があると思いますが、1年に1度交換しているような人ならばあまり気にせず使用できるかもしれません。

使い始めた当初はもっと貶そうと思っていましたが、少なくとも密巻き機には、何も考えず選んだPEラインを使用するより、ハードブルを合わせたほうがライントラブルを起こすリスクは確実に減ります。
密巻きで困っている方、試してみる価値はあると思いますよ!
コメント
シマノリールにシマノライン、わかります。
では、他メーカーからリリースされているラインはどうでしょうか。
私は新しくリリースされた9本撚り(芯糸+8本撚り)の糸が密巻にマッチしていると思います。
バリバスのX9は現在24ツインパワーに搭載中、釣行回数は少ないですが今の所トラブル及びその前兆も表れない。
YGKからも同様のものが出てるようですが、高いので試せていません。
コーティングで張りをだすハードブル(?)よりも、構造的な部分で張りをだしている9本撚りの方が長持ちしそうですがどうでしょう。
因みに私もハードブルを巻いたスプールがありますが、未投入です。FG組んだ時の印象は、まるで紙のようなゴワついた硬さと感じました。対してX9はナイロンのような質感で直進性がある印象。
他では、デュエルのフロロコーティングのラインも良いとの記事があったのですが、直線強力がやや劣るのとやや太めな記憶もあり、先になりそうです。
密巻き機でトラブルを起こさない対策としては、記事で仰られたとおり、ライン銘柄の選定が大きく作用すると思います。
PE導入時に、独特のしなやかさが原因でモノフィラメントにはないトラブルが多発した状況と似ている気がしますね。
次点として、巻き取りテンションの管理だと思いますが、まずは厳選されたラインを使って初めてクロスラップ機と同等の耐トラブルとなる気がします。
私は限られた釣行故に様々な検証をすることができません。しかし、今後シマノは密巻きが主流になっていくと思われるので、ライン事情は知っておきたいところです。
貴重なコメント、大変感謝致します。
9本撚りというラインが出ていることを初めて知りました。
コーティングで無理やり出しているコシ・ハリを構造上解決できればそれに越したことはないですよね。経年劣化しても本製品より影響は少なそうです。
問題はお値段なのでしょうが、長く巻いて永く使う場合であればコスパも9本撚りのほうが良さそうな印象ですね。試してみたいと思います。