遊漁船業者&釣り人悲鳴 2024年4月から沖堤防に渡れなくなる?

コラム
スポンサーリンク
スポンサーリンク

一部の釣り人のマナーやモラルの悪さ、コロナ禍の後押しも相まって、立ち入り禁止になる漁港が次々と増えている昨今の釣り事情。陸で釣りできないなら沖に渡れと、沖磯や沖堤防に渡って釣りをしている人も少なくはないでしょう。

そしてそのような渡船業、遊漁船業で食べている業者も全国には多くいることと思います。

そんな釣り人&遊漁船業者双方にとって致命的とも言える法改正が2024年4月に実施されました。


遊漁船業法とは? 改正の主な内容は?

改正されたのは、遊漁船利用者の安全確保及び利益の保護、漁場の安定的な利用関係の確保を目的として制定されている遊漁船業法

営利を目的として遊漁船業を営む場合は、この遊漁船業法に則って所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません。

2024年4月、大きく改正されたのは以下の事柄。

遊漁船業者の登録・更新制度の厳格化

前述の通り、遊漁船を営む業者は管轄する各都道府県知事の登録を受けなければなりません。一度登録をしたら終わりというわけではなく、5年ごとに更新する必要がありました。

この5年の更新に対し、法改正により遊漁船業法を遵守していないと判断された場合、登録の有効期間が3年もしくは1年に短縮されます。

車の運転免許と同じ感じですね。違反で捕まればゴールド免許からブルーの免許に、みたいなイメージでしょうか。

また、不適格業者の安易な再参入を防ぐため、登録の欠格期間が2年から5年に、船員法を犯した業者や処分逃れで廃業した関係者の再参入を5年間認めないなど、登録・更新についての制度がより厳しいものへと変わっています。

遊漁船業者の安全管理体制の強化

遊漁船業者として登録を受けるときに、業務規程を申請書と一緒に提出しなければなりませんが、その業務規程について利用者の安全が確保されないと判断された場合、遊漁船業として登録されません。

今回の法改正により、業務規程に新たに以下の必要記載項目が増えています。

①船長、遊漁船業務主任者の明記②連絡責任者の明記③案内する漁場の明記④通信設備及び救命設備の記載⑤救命胴衣の着用⑥出航前検査の実施、乗務記録の作成・保存⑦飲酒等の禁止⑧出航中止基準の作成、出航中止の判断➈従業者の教育

利用者及び事業者の安全を考えれば必要なことなのでしょうが、これだけ急に増えると事業者の負担も大きくなることでしょう。

そして、釣り人が沖堤防へと渡れなくなってしまう大きな理由として挙げられるのは、この業務規程の③案内する漁場の明記

そもそも沖堤防とは釣りを楽しむ場所ではなく、沿岸から打ち寄せる大波から漁港及び付近の海岸を守るためのもので、国や市などによって管理されており、基本的に立ち入り禁止なんです。

それではなぜ今まで釣りが許されていたのか?という疑問が生まれるわけですが、巡回パトロールや注意喚起は行われていても黙認が通っているような状態にありました。

本来釣りを認められていない場所なので当然と言えば当然なのですが、瀬渡し船で生活を営む業者や沖堤防を頻繁に利用していた釣り人にとっては大打撃です。

今後もそのような立ち入り禁止の沖堤防で釣りをしていても見逃してくれるのではないか、という期待は棄てたほうがよいです。理由は次項の通り。

罰則の強化

行政から業務改善命令を受けた遊漁船業者は、直ちに業務上の不適切なところを改善し、定められた方法に則って行政に報告などの措置を講じなければなりませんが、これを無視して業務を続ければ業務改善命令違反となり罰則が与えられます。

その罰則について、今までは100万円以下の罰金としてありましたが、2024年4月の法改正により1年以下の懲役もしくは150万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金というように重い罰則がかけられるようになりました。

この罰則は案内役の遊漁船業者が対してですが、立ち入り禁止の沖堤防へ渡った釣り人ももちろん検挙の対象になります。

過去の関連記事はこちら↓↓↓

無届けの防波堤に案内容疑、遊漁船業者を検挙 新潟海保:朝日新聞デジタル
事前の届け出と異なり立ち入り禁止の防波堤に釣り客を案内したとして、新潟海上保安部は8日、遊漁船業を営む新潟市の男性(52)を遊漁船業適正化法違反(漁場案内場の虚偽申告)などの疑いで検挙したと発表した…

利用者の安全等に関する情報の公表等の措置

重大な事故が発生した場合、速やかに管轄の都道府県に事故の内容を報告する義務が設けられました。

また、利用者の安全確保や利益保護のために講じた措置などに関する情報を、原則インターネットにより公表しなければなりません。具体的には事故を起こしたり業務改善命令を受けた場合、それに対して講じた措置の内容をHPで公表するといった感じになります。

釣り人が釣り場を守るためにできること

おおまかな内容を記載しましたが、この他にも損害賠償措置の強化や遊漁船業務主任者の教育や管理、訓練の実施などの責務が課されるようになっています。

詳細は↓↓↓

https://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/yugyo/what/attach/attach/pdf/index-35.pdf https://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/yugyo/what/attach/attach/pdf/index-45.pdf

今まで釣りができていた場所が年々減少し、どんどん肩身の狭い想いをしている釣り人ですが、その原因を作っているのもまた釣り人。

今回の遊漁船業法改正についても、その背景には救命具を身に着けず釣りをして落水するなどの死亡事故が年々増えているということがあります。

漁港も同じで、釣り人によるゴミのポイ捨てや、釣った魚をそのまま放置するなど一部のモラルのない釣り人によって、漁港関係者の仕事に悪影響が出てしまい、仕方なく釣り禁止にせざるを得ない状況が生み出されるのです。

これ以上釣り場を失くさないためにも、ひとりひとりがマナーを守るだけではなく、清掃活動や安全啓発を実施し、釣り場を管理している、言わば提供している側に迷惑をかけない行動をとることを心がけていかなければなりません。




コメント

タイトルとURLをコピーしました